ある日、
大西泰斗先生とポール・マクベイ先生のご著書である
テレビ番組発の『ハートで感じる英文法』という本が絶版になる
という知らせを聞いたときに、
「何おかしなことをやってるんだよ、N◯K出版!」と怒りがこみ上げたのですが、
こういうことだったのですね。
「ちゃんと言ってくれれば怒らなかったのに〜」って感じです。
怒りがこみ上げたのは『ハートで感じる英文法』が人生の1冊だからです。
「英語をやり直そう」と思っている方には全員手に取ってほしい……!
大西泰斗 @HIROTOONISHI 先生の『ハートで感じる英文法 決定版』の発売に関するつぶやきをしまくっているのは「人生を変えた一冊」だからです。プロフィールにも書いたくらい。この本の元になっている番組は狂うほど見ました! pic.twitter.com/JxOCukIrdw
— porpor 英語学習コンシェルジュ (@porpor35) 2018年8月9日
深夜の再放送に出会っていなければ、おそらく今ブログすら書いていません。
講師だったり編集者だったりになっていなかったかもしれません。
それくらいぼくの人生に多大なる影響を与えた一冊です。
この本をこのブログで紹介しないわけにはいかない、と慌てて読んでいます。
「はじめに」の、英語の正しい「感じ方」には次のように書かれています。
昨今「やり直し」英語学習ブームですが、そのやり方に私は大きな疑問を持っています。みなさんは中学・高校時代、それなりに勉強しましたよね。中学・高校でまったく学習してこなかったならベルでしょうが、社会人になったあと、英語力ーー特に会話能力ーーを切実に必要としているような方々なら、まじめに英語に取り組んだ歴史をお持ちだと思うのです。さて、中学・高校時代、英語が話せましたか? その時点で英語が話せなかったとしたら、同じことを「やり直し」ても話せるわけはないのです。
この一節を読んでドキッとしました。
ぼくの元へ「やり直したい」と相談に来る方がいらっしゃるときに、
同じ過ちを繰り返しているのではないか、と。
大西先生はこの後でさらに続けます。
みなさんが英語を話したいなら、やるべきは、結局話すことができなかった過去の学習を繰り返すことではありません。そうではなく、英語への態度の根本を改めることが必要なのです。どう改めるのか。もちろんネイティブスピーカーの意識に同調するように、です。
ここでぼくは再認識しました。
自分が『ハートで感じる英文法』に出会って変わったのは、
中学英語や高校英語など、今までと同じことを「やり直し」たわけではなく、
英語への「態度の根本」を改め、ネイティブスピーカーの意識に同調していったのです。
この本は日本人が誤解しやすいポイントに絞って説明が展開されています。
「もくじ(CONTENTS)」をご紹介しましょう。
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PART 1:ハートで感じる12のレッスン
LESSON 1 「イメージでつかむ」前置詞の世界」
LESSON 2 the は「1つに決まる」
LESSON 3 「導く」that のキモチ
LESSON 4 「迫ってくる」現在完了
LESSON 5 「躍動する」進行形
LESSON 6 すべての -ing は躍動する
LESSON 7 未来形なんてない
LESSON 8 助動詞の DNA
LESSON 9 過去形が「過去じゃない」とき
LESSON 10 仮定法を乗り越えろ
LESSON 11 英単語もイメージだ
LESSON 12 「文の形」にも感覚がある
PART 2:ハートで話す12のレッスン
LESSON 1 to 不定詞 ーことばをつくすー
LESSON 2 if ープレッシャーをかけるー
LESSON 3 知覚構文 ーなめらかに語るー
LESSON 4 倒置 ー感情を乗せるー
LESSON 5 否定 ーオブラートに包むー
LESSON 6 時制の一致 ー感じたままに報告するー
LESSON 7 「とき」の感覚 ー臨場感を与えるー
LESSON 8 some & any ー正確にあらわすー
LESSON 9 可算・不可算 ー繊細に表現するー
LESSON 10 疑問詞・関係詞 ー的確に質問するー
LESSON 11 使役構文 ー人間関係をふまえるー
LESSON 12 up & down ー自分の感性に従うー
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380ページにも及ぶ大作なのですが、日本人の誤解しがちなところがおさえられています。
この本を読んでいなかったら、日本語訳に頼りきった、不安定な英語力になっていたことでしょう。
さて、肝心の効果的な使い方です。
カバーのソデ(折ったところ)にさりげなく「本書の使い方」が掲載されています。
1.これまで英語をどのように感じていたか、各レッスンの最初に出てくる例文でチェックしましょう。
2.従来の学習法を復習してみましょう。
3.それぞれの英語が持つ「基本イメージ」をつかみ、そのイメージをつかんだまま英語を読んでみましょう。またそのイメージを広げていきましょう。
これに重なるところはありますが、ちょっと深掘りした学習法をお伝えします。
1.楽しみながら読む
2.基本イメージを読んだ後の「英文を音読する」
3.DVD を見る
4.CD を聞く
では、一つずつ見ていきましょう。
1.楽しみながら読む
中学や高校で習った英語観をぶち壊してくれる説明があります。
ストンと自分の中に入ってくる感覚は快感だと思います。
「これを覚えなきゃ」とこわばる必要はなく、
「ネイティブの感覚をハートで受け止めよう」とドンと構えればOKです。
自分の感覚や英語観をアップデートしていきましょう。
2.基本イメージを読んだ後の「英文を音読する」
ここは「本書の使い方」と重なりますが、やはり音読は必要だと考えています。
大事なのは、ただ口を動かすだけではなく、ネイティブの感覚を抱きながら声に出すこと。
それぞれの英語が持つ「基本イメージ」をつかみ、そのイメージをつかんだまま
このようにおっしゃっていますから、まさにその通りに音読するのが良いです。
ぼくが当時意識していたのは「Read & Lookup」です。
英文を黙読したら、それを自分の言葉で話すように、何も見ずに音読できるようにする。
ネイティブの感覚をつかんだまま英語を声に出す癖がつくと、実践しやすくなります。
なお、先生の著書を読まれた方は「英文を暗唱せねば」と思われるかもしれませんが、
それがベターですが、覚えるのが大変に感じる方は、とにかく楽しむことを優先させてくださいね。
とは言え、自分の頭と体に叩き込むために、一度くらいは音読しておきましょう。
ここまでが本だけで完結する学習法です。
これらだけでも十分なのですが、もっと深めたい方は次のことをオススメします。
3.DVD を見る
本で書かれていることをより一層自分に刻み込みたい方は、先生の講義を映像で見ましょう。
本より映像のほうが情報があって、インパクトがある分、印象に残りやすさが違います。
映像は本のダイジェスト的な感じなので、コンパクトに情報が頭に入ると思います。
視覚情報は大きいです!
4.CD を聞く
DVD を手に取るのが難しい方は CD もオススメです。
先生方の講義や例文の音源があるので、学習効果が上がります。
英語の音読をするならば、正しい音源を真似ないとモッタイナイ!
かなり丁寧に解説をしてくださるので、本を開けない通勤時間や家事の時間などにもいいですね。
(絶版になっているので、安めの中古品を探しましょう……)
以上、『ハートで感じる英文法 決定版』の効果的な使い方でした。
ぼくも改めて読みながら、効果的な方法を見つけ次第、記事をアップデートしていきます。
一緒にこの本を使い倒していきましょう!