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大西泰斗先生&ポール・マクベイ先生による『英文法パーフェクト講義』発売記念講演会レポート

2018年4月から NHK のラジオ講座「ラジオ英会話」が開講されました。

 

お聞きになっている方も多いかもしれません。
ぼくもリスナーの一人です。

 

そして、この講座の前半(4〜9月)をまとめた一冊が発売されたことをご存知でしょうか?

 

 

 

この『英文法パーフェクト講義』の発売を記念して講演会が開催されました!

 

 

 

 

 

簡単にレポートをお送りします。

 

  1. 英会話なのに「文法」をメインに据えた理由

  2. 英文法を学ぶ真髄

  3. 暗唱の正しいやり方

 

自分の英語学習を「ラジオ英会話」とともに進化させるポイントを学んでください!

 

1. 英会話なのに「文法」をメインに据えた理由

多くの方から「なんで英会話なのに文法をやるんだ」とお叱りを受けたそうです。
しかし、それでも「やってよかった」と大西先生は考えていらっしゃいます。

細かな文法知識を知っていても、話せない人が多いという事実があったからです。
中学や高校の先生を例に出してみましょう。
彼らの中には多くの知識が入っているにもかかわらず、話せない人がいます。

 

なぜか。

 

今まで学んできた文法に欠陥があるから。

 

大学受験で求められるのは「訳す」ことが求められてきました。
「訳す」ために後ろから訳すという、英語の語順と逆行することがあります。
これでは、ネイティブがどのような心で英語を形作るのかがわかりません。
当然、英語を自然と話せるようにはなりません。

 

だからこそ、大西先生は今までの「訳す」文法を「話す」文法に進化させる狙いがありました。

 

これまで『一億人の英文法』や『FACTBOOK』という本を通して、話すための文法を伝えています。

 

 

しかし、本では伝わらないところを口頭で伝えるために、ラジオという媒体を選んだそうです。

 

スイカの種を蒔かなければ、スイカの芽が出ないように、
話すためのトレーニングを受けていなければ、当然、話せるようにはならない。

 

だからこそ、ぼくらは「話す」ことを意識して、英語に触れる必要があるわけです。

 

 

2. 英文法を学ぶ真髄

英文法を学ぶことは、語順と心の対応を学ぶことと言い換えることができるとおっしゃいます。

我々が使う日本語は助詞(は・が・に・を)のおかげで、どんどんとつなげて話すことができます。
一方、英語は「配置のことば」であることを知っておかなくてはなりません。
配置がすべてを決める、ということ。

 

例えば、進行形や受動態という文法を別々に習ってきました。
ですが、大西先生からすれば、「どちらも同じ」だと言えます。

 

I’m planning a trip to London.(計画している)
Dan is spoiled by his parents.(甘やかされている)

 

両方とも be 動詞の後に置かれて、主語の説明をしている「説明型」です。
「同じ配置なら同じようにしか心は動かない」という主張はしっくりと来るでしょう。

 

・基本文型(自動型、他動型、説明型、授与型、目的語説明型)
・説明ルール
・指定ルール

 

これらの軸を作ることで、話すための文法が体に染み込んでいくでしょう。
英語の語順と、それに対応する心の動きを常に意識することができるかどうかがポイントです。

 

3. 暗唱の正しいやり方

Twitter で「暗唱しています」というつぶやきを見かけることがあります。
ぼく自身も暗唱をしているので、大西先生に「暗唱についてどう思うか」とお伺いしたかったところ、
暗唱のやり方について講演中にお話してくださいました。

 

結論は、

「やみくもに覚えるな」
「心の動きを想像して覚えよう」

というもの。

 

ロボットのように口を動かすだけでは話す力は伸びていきません。
必ず「心の動き」を意識しながら覚える必要があります。

 

この発言には妙に納得した記憶があります。
というのも、少しでも気を抜くと、単に口を動かしているだけになるからです。
英語を話す自分を客観視しながら、覚えていきたいものです。

 

以上、講演会の簡単なレポートでした!
他にもたくさんの例文やクリス先生での英語のレクチャーがありましたが、割愛させていただきます。
「ラジオ英会話」をしっかりと学んでいれば、十分に理解できる内容だったものの、
暗唱のやり方については背筋の伸びる内容ではないでしょうか?
暗唱できたから満足、ではなく、心の動きまでコピーできたかということをゴールに据えたいですね。

 

 

(人気記事)
大西泰斗先生が講師の NHK「ラジオ英会話」を使い倒す5ステップ勉強法

 

こちらも合わせてお読みくださいね!

『ハートで感じる英文法 決定版』の効果的な使い方〜英語「やり直し」の極意〜

ある日、

 

大西泰斗先生とポール・マクベイ先生のご著書である
テレビ番組発の『ハートで感じる英文法』という本が絶版になる

 

という知らせを聞いたときに、
「何おかしなことをやってるんだよ、N◯K出版!」と怒りがこみ上げたのですが、
こういうことだったのですね。
「ちゃんと言ってくれれば怒らなかったのに〜」って感じです。

 

 

怒りがこみ上げたのは『ハートで感じる英文法』が人生の1冊だからです。

 

 

深夜の再放送に出会っていなければ、おそらく今ブログすら書いていません。
講師だったり編集者だったりになっていなかったかもしれません。

 

それくらいぼくの人生に多大なる影響を与えた一冊です。
この本をこのブログで紹介しないわけにはいかない、と慌てて読んでいます。

 

「はじめに」の、英語の正しい「感じ方」には次のように書かれています。

 

 昨今「やり直し」英語学習ブームですが、そのやり方に私は大きな疑問を持っています。みなさんは中学・高校時代、それなりに勉強しましたよね。中学・高校でまったく学習してこなかったならベルでしょうが、社会人になったあと、英語力ーー特に会話能力ーーを切実に必要としているような方々なら、まじめに英語に取り組んだ歴史をお持ちだと思うのです。さて、中学・高校時代、英語が話せましたか? その時点で英語が話せなかったとしたら、同じことを「やり直し」ても話せるわけはないのです。

 

この一節を読んでドキッとしました。
ぼくの元へ「やり直したい」と相談に来る方がいらっしゃるときに、
同じ過ちを繰り返しているのではないか、と。

 

大西先生はこの後でさらに続けます。

 

 みなさんが英語を話したいなら、やるべきは、結局話すことができなかった過去の学習を繰り返すことではありません。そうではなく、英語への態度の根本を改めることが必要なのです。どう改めるのか。もちろんネイティブスピーカーの意識に同調するように、です。

 

ここでぼくは再認識しました。
自分が『ハートで感じる英文法』に出会って変わったのは、
中学英語や高校英語など、今までと同じことを「やり直し」たわけではなく、
英語への「態度の根本」を改め、ネイティブスピーカーの意識に同調していったのです。

 

この本は日本人が誤解しやすいポイントに絞って説明が展開されています。
「もくじ(CONTENTS)」をご紹介しましょう。

 

===
PART 1:ハートで感じる12のレッスン
LESSON 1  「イメージでつかむ」前置詞の世界」
LESSON 2  the は「1つに決まる」
LESSON 3  「導く」that のキモチ
LESSON 4  「迫ってくる」現在完了
LESSON 5  「躍動する」進行形
LESSON 6  すべての -ing は躍動する
LESSON 7  未来形なんてない
LESSON 8  助動詞の DNA
LESSON 9  過去形が「過去じゃない」とき
LESSON 10 仮定法を乗り越えろ
LESSON 11 英単語もイメージだ
LESSON 12 「文の形」にも感覚がある

PART 2:ハートで話す12のレッスン
LESSON 1  to 不定詞 ーことばをつくすー
LESSON 2  if ープレッシャーをかけるー
LESSON 3  知覚構文 ーなめらかに語るー
LESSON 4  倒置 ー感情を乗せるー
LESSON 5  否定 ーオブラートに包むー
LESSON 6  時制の一致 ー感じたままに報告するー
LESSON 7  「とき」の感覚 ー臨場感を与えるー
LESSON 8  some & any ー正確にあらわすー
LESSON 9  可算・不可算 ー繊細に表現するー
LESSON 10 疑問詞・関係詞 ー的確に質問するー
LESSON 11 使役構文 ー人間関係をふまえるー
LESSON 12 up & down ー自分の感性に従うー
===

 

380ページにも及ぶ大作なのですが、日本人の誤解しがちなところがおさえられています
この本を読んでいなかったら、日本語訳に頼りきった、不安定な英語力になっていたことでしょう。

 

さて、肝心の効果的な使い方です。

カバーのソデ(折ったところ)にさりげなく「本書の使い方」が掲載されています。

 

1.これまで英語をどのように感じていたか、各レッスンの最初に出てくる例文でチェックしましょう。
2.従来の学習法を復習してみましょう。
3.それぞれの英語が持つ「基本イメージ」をつかみ、そのイメージをつかんだまま英語を読んでみましょう。またそのイメージを広げていきましょう。

 

これに重なるところはありますが、ちょっと深掘りした学習法をお伝えします。

 

1.楽しみながら読む
2.基本イメージを読んだ後の「英文を音読する」
3.DVD を見る
4.CD を聞く

 

では、一つずつ見ていきましょう。

 

1.楽しみながら読む

中学や高校で習った英語観をぶち壊してくれる説明があります。
ストンと自分の中に入ってくる感覚は快感だと思います。
「これを覚えなきゃ」とこわばる必要はなく、
「ネイティブの感覚をハートで受け止めよう」とドンと構えればOKです。

自分の感覚や英語観をアップデートしていきましょう。

 

2.基本イメージを読んだ後の「英文を音読する」

ここは「本書の使い方」と重なりますが、やはり音読は必要だと考えています。
大事なのは、ただ口を動かすだけではなく、ネイティブの感覚を抱きながら声に出すこと。

 

それぞれの英語が持つ「基本イメージ」をつかみ、そのイメージをつかんだまま

 

このようにおっしゃっていますから、まさにその通りに音読するのが良いです。

 

ぼくが当時意識していたのは「Read & Lookup」です。
英文を黙読したら、それを自分の言葉で話すように、何も見ずに音読できるようにする。
ネイティブの感覚をつかんだまま英語を声に出す癖がつくと、実践しやすくなります。

 

なお、先生の著書を読まれた方は「英文を暗唱せねば」と思われるかもしれませんが、
それがベターですが、覚えるのが大変に感じる方は、とにかく楽しむことを優先させてくださいね。

とは言え、自分の頭と体に叩き込むために、一度くらいは音読しておきましょう。

 

ここまでが本だけで完結する学習法です。
これらだけでも十分なのですが、もっと深めたい方は次のことをオススメします。

 

3.DVD を見る

本で書かれていることをより一層自分に刻み込みたい方は、先生の講義を映像で見ましょう。
本より映像のほうが情報があって、インパクトがある分、印象に残りやすさが違います
映像は本のダイジェスト的な感じなので、コンパクトに情報が頭に入ると思います。

 

 

視覚情報は大きいです!

 

4.CD を聞く

DVD を手に取るのが難しい方は CD もオススメです。
先生方の講義や例文の音源があるので、学習効果が上がります。
英語の音読をするならば、正しい音源を真似ないとモッタイナイ!


かなり丁寧に解説をしてくださるので、本を開けない通勤時間や家事の時間などにもいいですね。
(絶版になっているので、安めの中古品を探しましょう……)

 

 

以上、『ハートで感じる英文法 決定版』の効果的な使い方でした。
ぼくも改めて読みながら、効果的な方法を見つけ次第、記事をアップデートしていきます。
一緒にこの本を使い倒していきましょう!

大西泰斗先生の新文法参考書「総合英語FACTBOOK」と「英語表現 SENSE」が刊行決定

 

「使える英語」を目指す新大学入試に対応した、高校生向けの新しい参考書を刊行する。

 

驚きのニュースが入ってきました。
とある先生からどデカイ弾が発射されると聞いていましたが、
まさか大西泰斗先生とポール・マクベイ先生コンビだったとは……。
お二方が編著者となった二冊が刊行されることになりました。

 

桐原書店 NHK語学番組の人気講師、
大西泰斗氏、ポール・マクベイ氏による新文法参考書、2冊刊行

 

以下、引用です。

 

『総合英語FACTBOOK これからの英文法』:2017年春刊行予定
「聞く・読む」から「話す・書く」まで、英語を実用的に使いこなすためのシステムをわかりやすく解説した文法参考書。

編著者より
これまでの英語学習が表現力に結実しなかった大きな理由は、そのための必須学習事項 -語順- についての基礎知識が欠けていたからです。本書では、これまでの文法学習項目を忠実に踏襲しつつ、さらに語順解説を加えました。また、文法項目の機械的な羅列を可能な限り避け、学習者の「なぜ」に答える内容になっており、実用に向けての十分な文法システム理解を促すことができます。授業での解説、演習問題を理解・補強するための最適な教材であるといえます。

 

 

『英語表現 SENSE 伝えるための重要表現』:2017年秋刊行予定
「話す」「書く」に重要な表現を厳選して収録。表現のイメージと感覚を理解することで、スムーズな実用につなげる表現集。

編著者より
「話す」「書く」ためには文法理解だけではなく、表現学習も変わらねばなりません。従来の表現理解は、ほぼ「日本語訳」に留まっており、実用レベルの深い理解が得られているとは言いがたい状況にあります。『総合英語FACTBOOK』に続けて刊行する『英語表現SENSE』では、実用能力の根幹となる重要表現について、一般の辞書のような日本語訳の列挙に終わらない、ニュアンスに至る解説を施します。本書により、より自然な表現の使用が可能になります。これからの英語力とは「聞く・読む」はもちろん、「話す・書くことのできる英語力」です。

 

 

これはとても待ち遠しい本だと思ったのですが、次の一文に驚きと戸惑いを覚えました。

 

学校専用教材です。先生を通じてのみご注文をお受けします。

 

がーん。
一般の我々は手に入らないという事実です。
残念でなりません。
この旨のつぶやきをしたところ、なんと大西先生から直接のお返事がありました。

 

 

ということで、一般の我々は『一億人の英文法』で我慢するしかありません。
ただ、「FACTBOOK」は我慢できるとしても、「SENSE」のほうが気になりすぎますね。

 

もし学校の先生の友人などに見せてもらう機会があれば、続報を流すようにします!