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大西泰斗先生の『総合英語 FACTBOOK 例文完全マスター』刊行記念講演会に参加してきました

NHK の「ラジオ英会話」講師として有名な大西泰斗先生が新刊を出されました。

 

 

文法書の定番となりつつある『FACTBOOK』の例文集です。
「文法書に例文が書いてあるのに、なぜわざわざ別冊に?」と思われるかもしれません。
本書の冒頭に次のように書かれています。

基本例文(全815文)の内容を十分に「理解」し、さらに音読などのトレーニングを繰り返し行って基本例文を「暗唱」することにより、文法の力を話す力に結び付けるための例文集です。(中略)ただせっかく学習した語順も、そのメカニズムを「理解」しただけでは使い物にはなりません。「体に埋め込む」ことが大切です。考えずとも自然に感覚的に正しい語順を作ることができるところまで習熟しなければ、到底会話では通用はしません。

 

大西先生は他の著作やラジオ講座で、文法について説明しています。
ですが、これらを読んだり聞いたりするだけでは、理解で留まります。
理解した文法を自分の血肉にする時間や学習が必要というわけです。

 

そこで、この一冊が世間に送り出されたわけですが、
その発売記念として講演会が開催されました。
今回はその内容をコンパクトにお送りします。

 

1.先生のミッション
2.文法の内在化
3.圧倒的に足りていないモノ

 

それでは、先生の生の言葉を引用しながら、レポートさせていただきます!

 

 

1.先生のミッション

先生は講演会冒頭で次の発言をされていました。

 

日本人全員に英語を話せるようになってほしい

 

本を書くのも、ラジオ講座で話すのも、すべてはこのミッションに通ずるとおっしゃっていました。
今回の講演会のタイトルも「さあ話そう!」というものでした。
この発言を伺って、改めて学習者としても講師としても結果を出したいと感じています。

先生の言葉ではありませんが、強くお伝えしたいことがあります。
それは、学習者のぼくらは会話力を高めて、何かしらの結果を出す必要がある、ということ。
この結果によって、先生のミッションが達成されていくわけですから。

 

結果にこだわりましょう!

 

2.文法の内在化

次の発言は最初にも最後にもおっしゃっていたことです。

 

言葉自体を考えたらダメ

 

「この発言はこの文法を使って…」のように考えていたら、
会話にラグができてしまい、スムーズに会話をすることができません。
文法の組み立てを頭の中で経由してはダメ、ということです。

 

先生が例に出されていたものをご紹介しましょう。

 

We’ve been teammates for three years.(チームメートなんだよね)
We were teammates for three years.(チームメートだったんだよね)

 

前者は現在完了なので、「今」に焦点が当たっている形。
後者は過去形なので、「遠く離れた」出来事を表す形。

 

これらを日本語で言う場合は、文法などを組み立てないはずです。
英語も同じレベルに持って行く必要がある、というのが先生の主張です。

 

ぼくはこの意見に激しく同意です。
皆さんも同じレベルに持っていきたいと思いませんか?
頭の中で英作文をしていたら、会話のスピードについて行くことはできませんから。

 

だからこその音読。
先生は「質感とともに声に出す」とおっしゃっていました。
使われている文法の質感を理解した上で声に出す必要性があるということでしょう。
日本語を介在させずに感覚から直接音読ができるようにしたいものです。

 

3.圧倒的に足りていないモノ

文法を終えた後に、何を身につけていけばいいのか、についてもお話してくださいました。

 

★ひとくちサイズの定型表現
★場面に応じた文の部品

 

これだけではわかりにくいので、具体的な英語を見ながらご説明します。

 

★ひとくちサイズの定型表現

ぼくなりの表現をすると、熟語の一歩手前という感じです。

 

・おいしそう:look delicious
・一口、いい?:Can I have a bite?

 

何気なく使われる英語をどんどんストックしていこうという話ですね。
この「ひとくちサイズの定型表現」はぼくがストックしているものと共通しているので、
今度、別の記事で、集め方とストックの仕方をご紹介したいと思います。

 

★場面に応じた文の部品

講演会では提案が例に出されていました。
提案を一つ取っても、強度によって使い分ける必要があります。

 

強い提案であれば、
・will have to
・had better
・see no alternative but to
などが挙げられていました。

 

弱い提案であれば、
・you could always
・it might be a good idea to
などが挙げられていました。

 

先ほどの定型表現よりは難易度が上がる内容ではありますが、
自由に会話をしていくためには必要な学習だと考えています。
先生によれば、「ラジオ英会話」の最後の三ヶ月(1~3月)のテーマはここだとのこと。
それまでに、基本動詞や定型表現をストックしていきたいものですね。

 

以上、講演会の参加レポートでした。

 

 

講演会後に、サイン入りのTシャツや色紙をかけてのじゃんけん大会が行われました。
参加者はざっと100人はいたはずですが、なんと勝ってしまいました……。

 

 

今年の運は使い果たしたようなので、じっとしていようと思います……
なんてつもりはなくて、これを起爆剤にして、英語も仕事も加速させていきます!

 

(補足)
大西先生の英文法書は『一億人の英文法』と『FACTBOOK』がありますが、
実際に紙面を見て選ぶことをオススメします。
『一億人の英文法』の例文集も出ているので、どちらでも同じ勉強法ができます。

『一億人の英文法』著者である大西泰斗先生の講演会「正しい英語学習のあり方」

ついに記事が出来ました。
どうしても我が師匠である大西泰斗先生のことを書こうとすると筆が止まります。笑

 

大西先生

 

ということで、少し前になりますが、多数の著作を出されている
大西泰斗先生の講演会「正しい英語学習のあり方」のレポートです。

 

大西先生の最も有名な著作は2つのどちらかでしょうか。
NHK の番組「しごとの基礎英語」でご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

 


 

その大西先生が真正面から「正しい」英語学習について語るのだから行かないわけにはいきません。
先生は冒頭で「4技能がバランスよく学習されてこなかった」ことを嘆いておりました。
だからこそ、「どれだけ会話をすることが難しいことなのか」にすら気づいていない、と。

 

確かに、話す練習をしてきた記憶もぼく自身もありません。
話す基礎練習である音読でさえ、どれだけやってきたのか。

 

今は話すニーズが高まってきています。
そこで、話せるようになるために必要なことをお話してくださいました。
今回は3つの軸に沿ってお話が展開されていきました。

 

===
1.発音学習のあり方
2.文法学習のあり方
3.語彙学習のあり方
===

 

順を追って、ちょっとだけネタバレをさせていただこうと思います。
*有料なので、一部となりますことをご了承ください。
*今後、セミナーに参加予定の方はここで閉じるボタンを押してください。

 

 

1.発音学習のあり方

実際に声に出しながら、英語の発音について触れていきました。
どんな音声が弱く読まれるのか。どんな音が影響し合うのか。

 

このセクションでの先生の印象的な言葉は次の2つです。

 

自分の発音に不安を持ちながら話すのは辛い。

 

発音は後回しでいいとは言われるものの、マシなほうがいいですよね。
しかも、発音を気にしながら話すのは、ストレスが溜まって仕方がありません。
その最低限の発音を先生とともにおさえられた気がします。

 

また、「発音に特化した本を集中的に取り組むといい」とおっしゃっていました。
「発音がよくなったらいいな」と思うなら、行動すべし、ということですね。

発音はこの本がいいと友人から聞いたことがありますので、
ちょっと試してみようかなと検討中です。

 

natural speed で話す体験が少ない。

 

この言葉は改めて「なるほど」と唸らされましたね。
普通のスピードを普段から体験していなければ、いざ本番で太刀打ちができません。
自分が練習をするときから、スピードは意識しておかねばと感じました。
この点については、最近、音読をする際にスピードに意識を向けるようにしています。

 

 

2.文法学習のあり方

語順とその意識に焦点を絞ったセクションでした。

 

先生が、英語が話せない大きな理由として挙げられるのが、
日本語と英語の語順が鏡像関係にある」というものです。

 

日本語の語順を意識することなく、英語モードにしていくマインドを学びました。
「前から限定」「後ろから説明」という語順が何を意識するのか、
例文を声に出しながら学ぶことができました。

 

印象的な言葉はたった1つ。

 

文法はある程度のところから溶けていかないといけない。

 

とても独特な表現だったので、強烈なインパクトがありました。
先生のブログにも同様のことが書かれています。

 

兵法家伝書

 

言わんとしていることは、「文法を無意識のところまで落とし込め」だと思います。
これを言うときにこの文法を使おう、などと意識をしていたら話せない、ということです。

 

最初は例文を、文法の意識を通わせながらなぞることから始め、
回数をこなすことによって、無意識のところまで落とし込む。
他の英文でも同じ意識が通っていることを確認する。

 

これをひたすら繰り返すことに尽きるのだと思います。

 

少し話が逸れてしまいますが、ぼくは先生の文法の考え方を取り込んだことで、
TOEIC での Listening や Reading に素晴らしい効果を及ぼしたことを鮮明に覚えています。
文法が無意識のところに落とし込まれたことで、
理解のスピードが明らかに速くなったというわけです。

 

その効果を強く感じたのは、次の一冊をやり込んだことがキッカケでした。
(今ではこの本が下火?なのが寂しいので、普及活動をしたいくらい。)

 

 

この本の中にあった200文をひたすら音読・暗唱をしました。
そうすることによって、「文法を忘れる」ことに成功したのです。

 

 

3.語彙学習のあり方

先生は「一生モノ」とおっしゃっていた語彙学習について。
「話す」というアプローチから、語彙の学び方を考えていきました。

 

・日本語訳から離れる
・UNIT で操作する

 

前者はその名の通り、英単語を日本語訳で覚えても、会話では使いにくい、ということ。
先生は「日本語訳は first step だ」とおっしゃっておりました。
全幅の信頼を置くと、会話では困ってしまう、ということですよね。

 

TOEIC でも同じことが言えるのではないでしょうか。
単語帳で覚えた日本語訳が文脈にハマらない。

 

英単語はストライクゾーンを広くおさえていないといけないですよね。
つまり、それらの単語の使い方やニュアンスを掴み取るということです。
(以前の講演会で、複数の訳を見て、自分でニュアンスをつかむといいとおっしゃっていました。)

 

そして、次に後者は、会話をする際に「1語ずつ組み立てるな」ということ。
つまり、頭の中にあるブロック(=UNIT)で話そう、ということですね。
「英作文をいちいちするな」とおっしゃっていました。

 

昔の言い方(?)をすれば、英借文なのかもしれません。
しかし、それよりも感覚的に入ってきやすくはありませんか?
ネイティブが使うブロックをそのまま拝借するわけです。

 

この UNIT で操作することについては

 

ネイティブの言ったことは UNIT の宝庫

 

という言葉が印象に残りました。
英語に触れたときに「UNIT を盗もう」という視点で見られているか。

 

先生はそういった表現に出会ったときにメモるためのメモ帳を持っているそうです。
先生がやっているのにぼくらがやらないなんてありえないですよね。
話す力を高めるための地道で、大切な時間を作る必要があるなと感じました。

 

 

講演会の最後には先生と少しお話ができ、一緒に写真まで撮っていただきました。
先生の講演会には通い詰めているので、ストーカー認定されていないといいですが…。苦笑

 

以上、大西泰斗先生の講演会レポートでした。

大西泰斗先生の一般講演会「一億人の英文法 EXTENSION TO READING」参加レポート

2012年11月8日に東洋学園大学で行われた、大西泰斗先生の講演会のお話です。
有料の講演会ですので、ネタバレはあまりできないことをご了承ください。
ただ、いいとこ取りでお伝えするようにいたします。

 

「一億人の英文法 EXTENSION TO READING」

大西泰斗_一億人の英文法

 

数年ぶりに大学で授業を受けることになり、
しかも、師匠である大西泰斗先生の授業だったことから、
授業開始1時間前に着くという気合の入りっぷりでした。
あまりに早く人がいたものですから、大学のスタッフの方も驚くほどです。

 

講演タイトルにもありますように、「英文法を読解に活かす」ことを意識した内容でした。

 

大西先生の口から、どのような読解方法が披露されたと思いますか?

答えは単純です。

 

形と意味の緊密な連関

 

一言で言うと、これに尽きます。
今までの講演内容は「英文法を話すことに活かす」ことでしたが、
それが「読解」になったからと言って、変わることはありません。
話そうが読もうが、先生の英語へのアプローチの軸がブレるわけはないのですよね。

 

だって、同じ英語ですから。

 

この講演会で扱われた英文は大学受験の問題や洋書から例文を引用されていましたが、
やはり同じ感じ方で読むことができたと実感することができました。

 

徹底的に英語の形に習熟すること。

 

それさえできれば、英語は怖くありません。
その形が私たちの味方をしてくれます。

 

授業の最後に大学職員の方がおっしゃっていたことが印象的でした。

 

「『一億人の英文法』を日本人1億人の手に渡らせたい」

 

英語を攻略する近道は「形と意味」を結びつけて、無意識のところまで落とし込むことにあります。
英語をダイレクトに感じ、素早く理解したりアウトプットしたりする。

それをできるようにするには、この本がマストなのだと、ぼくは感じています。

 

 

買うことをためらっている方がぼくのところへ相談に来られることがあるのですが、
まずは、ぜひサンプル版だけでもご覧ください。
ぼくは日本人全員に行き渡るまで応援し続けます。

P.S.1
この大学での講義は来年の春と秋にも開催される予定だそうです。
ご興味のある方はぜひ続報をお待ちくださいね。
(このブログでも情報が入り次第、お知らせします。)

P.S.2
一般の方向けに講演会「やさしい英語の捕まえ方」の
申込が始まっていることをお知らせしていませんでした!

P.S.3
英文の形への習熟については以下の本もオススメです。すべて目を通しました!