「TOEIC 素材を使って、リスニング力を大幅アップさせたい」
「英語をただ聞くだけでは飽きてしまい、学習法にバリエーションを加えたい」
「シャドーイングが効果的な学習法だと聞いたんだけど、具体的なやり方がわからない」
TOEIC 対策に「シャドーイング」を取り入れることは有効です。
「シャドーイング」とは、英語を聞きながらそれを真似する方法。単にリスニングをするだけよりも負荷がかかり、その分、力もつくようになります。
一方で、負荷がかかる分、簡単に取り入れられる学習法ではないことも確かです。
実は、「シャドーイング」は通訳訓練法の一つです。通訳とは英語を使うプロフェッショナルですから、TOEIC という試験対策に必要なのかは疑問です。
そこで、今回は「シャドーイング」を取り入れるための準備内容や実際の勉強方法についてご説明します。
👓 この記事を書いているぽるぽるのプロフィール 👓
・講師(東京海洋大学/市進予備校/天狼院書店)
・著書(TOEIC TEST 戦略特急/毎日の英単語)
・国内独学・留学なしで TOEIC 990点満点・英検1級
目次
- 👓 取り組むパート
- 👓 事前準備❶:完全理解
- 👓 事前準備❷:正しい音のインプット
- 👓 事前準備❸:自分のペースで音読
- 👓 本番❶:スクリプトありシャドーイング
- 👓 本番❷:スクリプトなしシャドーイング
- 👓 TOEIC 対策時の真実
👓 取り組むパート
現在のレベルによって変わりますが、初中級者は「Part 1, 2」の短文から始めることをオススメします。シャドーイングと聞くと、長めの英文を素材にするように思われるかもしれません。
ですが、長いと大変なのは確かです。まずは短いものから攻略していきましょう。
上級者は「Part 3, 4」の長文を使う方向でOKです。ただ、TOEIC のスコアが高くとも、音読やシャドーイングに慣れていないと、Part 3, 4 でシャドーイングを行うのは苦労します。
上級者であっても、シャドーイングを難しく感じたら、Part 1, 2 でトライするのは大いにありです。
👓 事前準備❶:完全理解
扱う素材に対して、「文法(構文)」も「語句」もわかる状態に仕上げてください。ここを疎かにする人が多いです。完全に理解するまで素材をよみこむべきです。なんとなくわからないという状態では、シャドーイングもなんとなくの完成度になってしまいます。
素材を覚える必要はありません。
理解度をMAXまで高めることを意識してください。
事前準備で一番時間のかかるところですが、根気よくやりましょう。
👓 事前準備❷:正しい音のインプット
正しい音のインプットとは聞きなれないかもしれませんが、要は、何度も聞くということです。スクリプトを見ながらで構いません。「英語がこんな風に発音されているんだ」という事実を確認しましょう。
「何回聞けば良いか」という疑問が湧いた方に対しての答えは、正しい音が自分の脳にこびりつくまで、です。超抽象的です。決まった回数はありません。納得の行くまでやりましょう。
この時点で自分で言えるかどうかは気にする必要はなく、とにかく正しい音を脳に刻み込むイメージを持ってください。
👓 事前準備❸:自分のペースで音読
最後の準備にいきましょう。
自分のペースで音読することです。これをやらずにシャドーイングをすると、頭も口も音声のスピードについていくことができません。最初はじっくりと読んで、徐々にスピードを上げていきましょう。
発音が気になる方がいると思いますが、正しい音がインプットされているので、正しい音に無意識に近づけて発音しようとするはずです。
裏を返せば、正しい音が頭をよぎらないようであれば、前の事前準備が足りない証拠だと言えるでしょう。
👓 本番❶:スクリプトありシャドーイング
シャドーイングはスクリプトを見ないで行うものですが、ここまで事前準備を行っても、いきなりシャドーイングは難しいです。そのため、スクリプトを見ながらシャドーイングを行いましょう。

・音声を聞き取りながら、スクリプトを目で追う
・音声を再生するつもりで、音から少し遅れて声に出す
字面だとなんだか難しそうですが、実際にやってみるともっと難しいと思います。
正直、TOEIC 対策としてはここまででも良いと思っています。次に書く「シャドーイング」は本当に負荷が高く、ぼくはオススメしていません。スクリプトありシャドーイングで仕上がったら、何も見ずに音声を聞く。それで問題がなければ、素材の消化としてはOKだと判断しています。
ただ、「シャドーイングができるようになりたい」という思いでお読みいただいている方もいらっしゃるでしょうから、次のチャプターでご紹介しますね。
👓 本番❷:スクリプトなしシャドーイング
これは読んで字のごとく、スクリプトを見ることなく、聞こえた音声を声に出します。かなり難しいとハードルを上げてきましたが、事前準備を丁寧に行い、スクリプトなしシャドーイングを何度も行うことで、だいぶうまくできるようになります。
ここまでたどり着くには、結構な準備や労力が必要なのがおわかりいただけたのではないでしょうか。なかなか大変ですが、スクリプトなしシャドーイングができると、音声だけで勉強ができるので、スキマ時間も使い放題です。
👓 TOEIC 対策時の真実

いろいろなところでお伝えしていますが、ぼくは TOEIC 対策時に「音読」すらほとんどやっていません。音読をしたことがないというと嘘になりますが、音読をメインの学習法として据えたことはありません。シャドーイングはなおさらです。
ここまで熱く語ったのは何なんだ、というくらい。ぼくが声を大にして言いたいことは以下にまとまっています。
TOEIC は音読なしでもハイスコアは取れる。というか、990点満点までいける。ぼくは満点までに音読をしたことがあるものの、TOEIC 素材はほぼなし。TOEIC で問われる読み聞きだけに集中した。これでは話せるようにならないと思われるが、目標達成を優先した行動基準。目標に照らし合わせた行動を。
このツイートの裏には「『音読をしないとスコアが上がらない』ということはない」というメッセージがあります。シャドーイングも同じです。
現状に照らし合わせて、学習方法を見直す必要はあります。ただ、「この学習方法をやっていないからスコアが上がらない」というのは少し強引です。
今やっていることをしっかりとやれているか、という話。
音読する暇があるなら、正しい音をインプットしようよ、みたいな。
TOEIC のスコアアップをしたいならば、「聞くことの優先順位が高いでしょ」ってことです。
やるべきことをやっているのか?
もちろん、必ず通らないといけない道はあります。単語とか文法とか。マストのことを押さえたら、あとはどんなやり方でも成果さえ出せば、文句なしです。
成果から目をそらさない。
成果につながっているのかを常に考える。
やり方はあくまで手段だから、そこに囚われすぎるのはNGです。
結果、出そう。
動画でも説明しています。